YAMAHA C-2 プリアンプ コンデンサー交換 SHURE V-15 VxMRで試聴する [アンプ]
さて、先日ジャンク屋で入手したヤマハ往年の名機、C-2 。
発売当時、物理特性に於いてかのマークレビンソンLNP-2を凌駕したと話題になったプリアンプ。
なにしろ超ローノイズで高分解能。そうと聞いちゃぁ黙って居られぬ、という事で・・・
長年使わずしまっておいたこんなカートリッジをひっぱり出して聞いてみたくなったわけです。σ(^_^;)
これはMMカートリッジの雄、アメリカはSHURE社のV-15 TypeVxMRという製品。MM型の開発メーカーであり特許を持つ同社の、かつて一世を風靡したV15シリーズの最高峰にして最終のモデル。さぞやC-2とは相性がいいだろう、とワクワクしながらレコードに針をのせたのですが、どうもしっくり来ない。オーケストラのフォルテシモやティンパニで音がつぶれて団子のようになる。ファンクミュージックのベースがブリブリ歪む。ポップスのコーラスが濁る。ギターのコードがザラつく。ボリュームを上げれば上げるほど症状が顕著に現れます。オルトフォンの場合だとトランスで昇圧してかなり大きな出力になるからボリュームは10時の辺りでちょうど良く、特に歪む事はないのだけれど。V-15の場合出力は約3mVの標準的なものなれどオルトフォンと同じ音量を得るには12時~2時程度まで上げる事に。つまり増幅に比例して歪が増えてる状態。もともとこのアンプはボリュームを全開にしても歪率はわずか0.003%という、当時としては桁外れの性能だったので、古いなりに劣化しちゃってるんでしょう。気分が悪いなぁもう。(T-T)
ところでずいぶんデカい音量で聞いていると思われそうだけど、このボリュームの角度でちょうど良い音量になるようパワーアンプのゲインを調整してるんです。ご存知の方も多いでしょうが、ボリュームって10時~2時くらいの範囲が左右のバラつきが無く揃っているから聞いていて気持ちが良いんですよ。
話を元に戻しますが、結局ジャンク品というものはメンテナンス前提って事ですね。で、メンテの基本であるボリュームやスイッチなど接点の分解洗浄をしてみたのですが一向に改善されず・・・そういえばこのアンプ、放熱の関係で設置条件によっては電解コンデンサの劣化が早く、音が歪んだりバランスが狂ったりした場合ほとんどそれが原因、というのを聞いた事があったのを思い出しまして。電解コンデンサはプリアンプに使われる小さなものであればオーディオ用でも安価なので思い切って全交換してみることに相成り候。
なお、C-2のコンデンサ交換はマニアの間では定番であり、WEB検索すると似たような交換記事が山のようにヒットしますが、今回の修理はまめぞう音響研究所が実際に行ったもので、他記事からの画像流用などは一切していません。すべてオリジナル画像です。
裏返して底板を外した様子。アンプの天井側に基盤が付いてるというスタイル。
良い造りですねぇ。整然としていて。左にボリュームが見えますね。( ゜ ▽ ゜ ;)エッ!! まさかの8連?
実際はボリューム4連、バランス2連の合計6連。分解して見ると分かります。
奥から5番目と8番目はスペーサー。記憶が違ってたらごめんなさい。
ン酢
ツマミ類をはずし、手前と左右、ミューティングスイッチ横のネジをゆるめて天板から中身を抜いてひっくり返した状態。
最初にここまでバラさないと作業が出来ない構造。これが一番大変かも。
それでは始めます。
電源回路・交換前。
電源回路・交換後。同じ規格でも現代のものは小さい。
フォノイコライザ回路・交換前。
フォノイコライザ回路・交換後。
トーンコントロール回路・交換前。
トーンコントロール回路・交換後。
そのほか、あちこち色々交換します。全部で33個。1時間程度掛かります。
交換したコンデンサ33個と電源電圧調整用の可変抵抗2個。経年で接触不良になるので念のため。
最後に電源電圧の調整。交換した可変抵抗の近くに電圧確認用のピンがあるので・・・(これは交換前の写真です。交換後の写真を間違って消してしまったので。再び開けて撮影するのが面倒なので。^^;)
Eのところにテスターの黒いほうを接続、+30Vと-30Vのところに赤いほうを交互に接続して測定、それぞれの電圧になるよう2つの可変抵抗を小さなマイナスドライバーで回して合わせます。(これは交換後調整してる写真。上の写真とコンデンサの色が違うからお分かりになると思います。)
これで完了。さっそく試聴。
おっとこれは驚いた!音が全然違います。自分で何かやるとプラセボ(プラシーボ)効果で音が変わったように感じるものでそれはほとんど気のせいなのですが、今回は違います。歪みはまったく無くなりました。おまけに音の見通しが断然違います。コーラスの濁りもなくスッキリと抜けが良くなりました。セパレーションフィールドがぐっと広がり、左右の遠くから実体を伴った音が聞こえる。まるでオルトフォンのような音像定位。MM型にありがちな、かゆいところを靴の上から掻くような感じがまったく無い。でも肌触りは明らかにSHURE。なんじゃこりゃ。
C-2とV-15 TypeVxMRとの相性は抜群。思わず 「すげっ!」 と叫んでしまった。ものすごい実力ですよこのプリアンプは。当時初めて聞いた人はビックリしただろうなぁ。
オーディオに於いて、交換すると音が劇的に変わる部品はコンデンサだけど、悪い方向にいってしまう事もあったりしますよね。妙に音が硬くなったり抜けが悪くなったり高域がキツくなったり。そういう意味では大成功。今回使用したのはC-2と相性が良いと言われているニチコンのMUSEシリーズ。単価は容量と耐圧によりそれぞれ¥40~¥200程度。
アドバイスをいただいたアキバの某ショップの師匠、某パーツ屋さん、その他参考にさせていただいたサイトを運営する皆様に感謝申し上げます。
最後までありがとうございました!m( __ __ )m
皆様へ
ちょっと最近ドタバタしており、いただいたコメントへのレスなどが遅れぎみになってしまいますこと、ご容赦ください。m( __ __ )m
by まめぞう(エルモ改め ^^; ) (2011-09-07 18:13)
YAMAHA C-2なによりデザインがかっこいいですなぁ。
by Chris (2011-09-07 23:53)
お、兄さん、更新ですね^^お元気ならばそれで良しです☆
by ゴーパ1号 (2011-09-08 00:13)
すごいですね。よい装置をそろえて、よい音で音楽を聴く方は
多いですが、ハードのメンテまでご自分でされる方は少ない
のではないでしょうか。
もちろん、新製品を追い求めるのも、お金さえあれば、ハードは
基本的には手段ですから、それもありなのかとも思いますが、
やはり、僕は師匠のスタイルを尊敬してしまいます。
by horigon (2011-09-08 07:14)
名機と聞いております。
いつかはセパレート・・・と考えておりますが、
まだまだ先の話でございます。
そういえば、昼間は私も10時あたりで聴いてますねぇ。
by たいへー (2011-09-08 07:37)
ヤマハのアンプは定評がありましたよね。
さすがにピアノをつくっているだけはありましたよね。
昔、A級動作のA-2000なんていう、
とんでもないアンプもありましたね。
by こうちゃん (2011-09-08 08:51)
殆ど全部、読ませていただいたということで、退散します。
ウチにも同じようなのがありますけど、暫く使ってないから埃を被っています。、
by okko (2011-09-08 10:18)
さて、いつも素敵に直して、、、いい音を楽しんでいます。
何を聞いているのかしら?
by ハギマシコ (2011-09-08 10:42)
もはやプロの修理屋さんみたいですね ^^
いろんな部品の交換前と交換後、まるで間違い探しみたいで、そちらの
方向で楽しんでみました (^^;
by なかちゃん (2011-09-08 11:12)
はあー!ただただ感心しております。
by めもてる (2011-09-08 11:21)
ここまで、できるまめぞうさん・・・凄いです。m(_ _)m
私事ですが、私もLP12を手に入れました。
色々とご教示下さい。(^^;
by ゴーヤ (2011-09-08 13:37)
大変手の掛かる作業をなさって、思い通りに成功なさった事はわかりました。
やっぱりすごい、黄金の腕。
でも難しくて、細かい内容は全く理解はできませんでした ^_^;
by きまじめさん (2011-09-09 00:20)
スピーカーのボリュームは10時~2時くらいの範囲が良いのかぁ...
知りませんでした。参考にします^^。
と言っても、PCにつないでいるスピーカーのコトですが^^;。
by sakamono (2011-09-09 22:07)
相変わらずまめですねー。
自分には無理です。
by 雅 (2011-09-10 21:02)
良いな~
私は、次の世代のC-2Xです。
縁が有れば、来てくれるかな?
by emanon (2011-09-10 21:22)
凄いっすねぇ、SHUREのロゴの立体。w
コンデンサー交換は気力が。。(^^;
by moonrabbit (2011-09-12 00:53)
コンデンサーとか萌え〜♡
組み立てられないけど(笑)
はんだが美しい(=^・^=)
トリエンナーレで抵抗を使ったアートもあって萌えてました(≧∇≦)b
by kumimin (2011-09-24 17:05)
お~!
ニチコン金色のコンデンサだ~!
by 浜崎あユーミン (2011-10-10 12:59)
こんにちは
自分のカーオーディオのコンデンサーが不味い状態なので交換したいのですが、コンデンサーが溜めている電気はどうやって放電させましたか? なにかコツはありますか?(プラスから外すとか)
by ふうじん (2014-04-27 13:21)
☆ふうじん様
コメントありがとうございます!^^
ところでコンデンサが不味い状態との事。どんな感じに不味いのですか?
「コンデンサが不味い」 ことが原因と特定された理由はどのようなものなのでしょうか。そもそも回路上でどのような役割を担っている、どのコンデンサに不具合が生じているのでしょうか?
具体的な状況を教えていただけませんでしょうか?
よろしくお願い致します!m(_ _;)m
by まめぞう (2014-04-27 18:03)
早速のレス有難う御座います。
なんか液漏れしているみたいです。
なので、交換必須と思った次第です(^_^;)。
by ふうじん (2014-04-28 16:44)
あと、ザザッっというノイズが出ています(^_^;)
by ふうじん (2014-04-28 16:50)
☆ふうじん様
カーオーディオのどの部分のコンデンサが液漏れしているのか分かりませんが、昔の真空管アンプの平滑コンデンサのような大きなものではないでしょうから、特に放電しなくとも良いと思います。ご心配であれば端子をショートさせてください。多少の火花は出るかもしれませんが大丈夫です(多分出ないと思います)。部品を外すコツは、基盤に半田こてを当てて半田を溶かしコンデンサを傾けます。片方の足が抜けたらもう一方の半田を溶かし、コンデンサを引き抜きます。その後半田吸い取り線などで基盤に残った余分な半田を除去します。最初から吸い取り線を使ってコンデンサを外そうとすると基盤に無理が掛かり最悪パターンが剥離しますのでお勧めしません。あと、極性を間違わないようにしてください。ところでザザッというノイズ、コンデンサ由来ではなく半導体のような気がします。手元に現物がありませんから原因の特定は出来ませんが、車の中は過酷な環境ですから色々な原因があるでしょうね。カプラーの接触の加減でザザッというノイズが出る事もありますし。日常的に熱がこもる環境ですからコンデンサの寿命は短いでしょうね。ただコンデンサがザザッというノイズを積極的に出すような事は少ないですから原因としては微妙ですが。ご検討をお祈り申し上げております!^^
by まめぞう (2014-04-29 01:12)