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テクニクス SL-10 整備 その1 ダストカバー脱着&ダストカバー押えの製作 [ターンテーブル]


 
さて、拙ブログに何度も登場しているテクニクス SL-10。
言わずと知れた名機ですね。 
(文中の部品呼称はサービスマニュアル用語です )
 

 
 
 
Technics SL-10 ダストカバー押さえの制作 (3).JPG
 
 
SL-10を詳細に整備調整するには「ダストカバー」の脱着が必須です。 
外し方と、避けて通れない問題、対処方法についてご参考まで掲載いたします。 
 
 
カバー後端の細長いのが 「ダストカバー押え」。
 
technics SL-10 ここがダストカバー押え.jpg 
 
 
これをはがすと取り外しネジが現れます。
 
Technics SL-10 ダストカバー押さえの制作 (5).JPG 
 
 
このネジを外し、「上部キャビネット」を開け、下からダストカバーを持ち上げれば簡単に外れますが、ダストカバー上端に手を添えて支えるのをお忘れなく。何もしないで持ち上げるとダストカバーは滑り台を落ちるように落下します。キズが付く恐れ大(特に裏側)です。 キズ修正が出来る部分であれば良いのですが、文字が印刷されている部分にキズがつくと修正は不能です。
それから、組み付けの際、このネジは頭が出ない程度に(表面がフラットになる程度に)軽く締めてください。間違ってもキツく締めてはいけません。
ダストカバーが軽く固定されれば良いんです。ネジは両面テープで動かなくなるし。
何よりネジの締めすぎでダストカバーにヒビが入っては取り返しがつきませんから。
 
 
 
 
ところがこのダストカバー押えが曲者。一度はがすと使えなくなってしまいます。
 
Technics SL-10 ダストカバー押さえの制作 (1).JPG
 
 
透明なプラスティック(多分塩ビ)に裏から黒い塗装がしてあり、両面テープでくっついてるのですが、
はがす際に塗料もはがれてしまいます。この両面テープ、ダストカバー本体側やネジにも残っちゃうのですが、何しろ頑固。元々強力なのか、経年変化で固着してしまうのか、キレイに取り除くのが物凄く大変。一度でもおやりになった方でしたらお分かりと思います。 
 
参考まで、ダストカバー押えの寸法は厚さ約0.5ミリ、幅約6ミリ、長さ約298ミリ。なお前期の個体では長さ約298.5ミリのものも存在します。上部キャビネットのダストカバーが納まる枠がわずかに広いんですね。つまりキャビネットには複数の鋳物型が存在するという事ですね。 
 
 
エッジは斜めに面取りされています。おそらく金型射出成型でしょう。 
 
Technics SL-10 ダストカバー押さえ 拡大.JPG 
 
 
過去に比較的キレイにはがせた例もありました。これは製造初期の頃の個体。製造時期によって両面テープの種類が違うのかな?それともメンテした際に貼り換えたのかな?
まぁキレイにはがせたと言ってもこの程度です。 塗装が傷んで使えません。
 
Technics SL-10 ダストカバー押えはがし うまくいってもこの程度.JPG 
 
 
 
さて、当時(1980年)の部品価格表です。 ダストカバー押え¥70の記載がありますね。(安っ!)
おっと、矢印を一行間違えました。 (^▽^;)
 
Technics SL-10 ダストカバー押え 部品価格表.jpg 
 
この部品、もはやテクニクス(現:パナソニック)に在庫はありません。ダメ元で一応確認しました。
絶賛在庫中だったら面白かったんだけどな。まぁそんな事あるわけない、と・・・σ(^_^;)
 
 
で、同じ仕様はとても無理だから、似たようなものを作ればいいじゃん、という事で・・・ 
 
 
0.5mmの透明塩ビ板を幅6mm、長さ298mmに切断。工具はPカッター。
裏側から黒色に塗装。
 
Technics SL-10 ダストカバー押さえ 作ってみた (2).JPG 
 
 
上は裏返した状態。下は塗装面の側。つや消しですが裏から見れば上のように見えます。
 
 
ここで問題発生。
 
 
写真では解り辛いのですが、側面に黒さが足りないというか、妙に半透明な白っぽさとなりました。
仕上げの荒さかと思い入念にバリを削りサンドペーパーとコンパウンドで仕上げたけど効果なし。 
やはり面取りの光学的な効果は大きいんですね。 
 
そこで、透明な塩ビに塗装するのはあきらめ、もともと黒色の塩ビ板に変更。 
両面テープ貼付。余分を切り取り完成。テープはメンテの事を考え何度でも貼り直しができる低粘タイプを採用。これでも充分な強度です。使用上まったく差し支えありません。
 
Technics SL-10 ダストカバー押さえ 作ってみた (3).JPG
 
 
ここでワンポイントのコツ。
両端ギリギリまでテープを貼るとはがす時大変で、折れてしまうことも。
このように少しスペースを空けると簡単にスパッとはがせます。再利用もオーケー。 
光が反射して分かりづらいですが、切り口と側面は研磨しています。 
 
Technics SL-10 ダストカバー押え テープ両端処理 切り口研磨.JPG 
 
 
 
 
 
ついでにダストカバーを磨きます。
 
Technics SL-10 ダストカバー磨き.JPG 
 
 
 
塗装クラック発見!裏側からタッチアップペイントして修正します。 
 
DSCN8720_R.JPG 
 
 
 
組み付け完了。違和感なく納まったって感じでしょうか。細かい部分はご勘弁くださいな。 
キズのように見えるのは光の反射です。
 
DSCN8826_R.JPG 
 
 
実は面取りの有無って少し離れると分からないというか、ルーペで見ないと識別できません。
最初これに気付いた時はびっくりしましたよ。  
SL-10、知れば知るほど設計陣の並々ならぬ情熱と思い入れを感じます。
 
次回から調整に入ります。 
 
最後までありがとうございました。 m(_ _)m 
 
 

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まめぞう

皆様へ

ちょいと多忙になって来ました。この記事は随分以前に下書きした蔵出しです。
ご興味がある皆様には甚だ僭越ながらほんの少しは有用かと存じます。
ではでは! m(_ _)m

by まめぞう (2014-09-05 19:53) 

たいへー

にやりと微笑んでいる顔が目に浮かびます。^^
by たいへー (2014-09-06 07:37) 

まめぞう

☆たいへ~どの
ええ、にんまりとね。^^
by まめぞう (2014-09-06 09:08) 

某K

あれは「ダストカバー」なんですか? ;^^
うーん、違和感ある。
でも、メーカー命名なのか。

「どうしても、ダストカバーは外したい。
うーん、やば、シールがぼろぼろ。
塗装するか。だめー。
黒い板買って、切って、と」

というのが普通の流れだよね。

取り付けビスは、しっかり底まで締めざるを得ない。
というのは、きつきつに締めないと、頭が出てしまうから。
by 某K (2014-09-15 01:30) 

まめぞう

というか、頭が出ない程度に、塩ビ板を貼った時点でフラットになる程度にゆるく締めるのが良いと思っているのですが。これ微妙な締め加減。
誤解を招くといけないので取りあえず本文訂正しときました。
あと、何故か真ん中部分が盛り上がっている個体が多いですね。
金型の関係なのか何かの応力が残っていて経年でゆがむのか。
サンドペーパーで修正よくやります。
まぁいずれにしてもバラした時にきつく締まっていたこと今まで無かったので、メーカーでは理由があってちょうど良い締め加減にしているのだと思いますよ。締めすぎは放射状のヒビ割れの元。やっちゃった事あるので。σ(^_^;)
by まめぞう (2014-09-15 09:44) 

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