SSブログ

テクニクス SL-10 整備 その2 針圧測定方法と調整 [ターンテーブル]


まずは簡単な調整から。 
 
テクニクスのSL-10はスプリングで針圧を印加するダイナミックバランス方式です。
 
製造から相当年月を経過していますので、ズレていると思って間違いありません。  
 
 

 
針圧の調整はここで行うのですが、現在となっては説明書の通りにやっても既定針圧になりません。
色々と工夫が必要です。詳細は後ほど。
 
Technics SL-10 針圧調整 (3).JPG 
 
 
余談ですけど、 調整ねじは楕円の穴の中にありますが、初期の個体では丸穴のものがあって、位置設計を間違えたのかアームを傾けないとねじが出てこないんです。プラスとマイナスの間、左右の矢印の真下に丸穴。ずれてますよね。おまけに下の四角い窓も狭く調整しづらいです。写真の後期モデルでは改良されたみたいですね。 
 
 
さて、調整ねじと針圧目盛りはこういう関係。初期の取扱説明書から。穴が丸いです。
 
Technics SL-10 針圧調整 (4).JPG
 
 
左右三角形目盛りの突端を合わせれば規定針圧の1.25gとなる設計。ところがこの目盛り、先述のとおり現在となってはあまり当てになりません。スプリングの経年変化が原因と思われます。0.2g以上ズレている個体もザラにあります。
 
実際の針圧がどれくらい掛かっているかを測定する必要があります。 
 
ここからの手法はサービスマニュアルには載っていません。まめ研オリジナルです。 
 
アームを中央へ移動させ電源を切ります。丸で囲んだ部分がアームリフター。
電源を切るとプランジャーが解除され強制的にアームリフターが上がってしまうので、降りた状態にするためちょいと小細工をします。
 
Technics SL-10 針圧調整 (1).JPG
 
 
このようにゴム板などを隙間にはさみ、アームが降りた(針圧が掛かった)状態にします。 
ちなみにこのゴム板、1mmのものを2枚使用。
 
Technics SL-10 針圧調整 (5).JPG
 
 
ダイナミックバランス型は、錘(おもり)のバランスで針圧を掛けるタイプ(スタティックバランス型)と違い、縦横斜め、逆さにしても同じ針圧が掛かります。 
 
 
本体の蓋を閉め、針圧計で測りながら調整をします。実はこの調整はカバーを外さなくとも出来ます。
外した状態で行うメリットは、静電気を帯びるとアームが上に(ダストカバー方向に)引き寄せられる力がはたらき正確な計測が出来ないから、という理由だけ。そう言えば昔、静電気を取り除くピストルみたいな形をした「ゼロスタット」なるものがあったけど、調べてびっくり今でも売っているのですね。
 
Technics SL-10 針圧調整 (2).JPG 
 
 
このオルトフォンの針圧計は小数点以下1桁しかないので、1.2gになった地点と1.3gになった地点の中間をとる、という面倒くさい事を毎回しています。桁の多い針圧計買わなきゃと思いつつ何年も経ってしまいました。効率が悪いったらありゃぁしません。(^^;
 
カートリッジも個体差がありますから、規定値で必ずしも良い結果になるとは限りません。あとは音を聞きながら微調整。だったら針圧など測定しなくても良いじゃないかという話ですが、まず基準がどこなのかを確定してから調整を進めるのがベストではないでしょうか。例えば基準針圧で音が歪む場合カートリッジのダンパーが傷んでいるとか、内蔵MCアンプの不具合とか、色んな事が分かりますから。繰り返しますが製造から相当年月を経過していますからほぼ100%ズレています。マニュアル通りにダイヤルを合わせた上で針圧を計測、規定値になった個体に遭遇した事が一度もありません。デッドストックの個体もそうでした。
 
 
次回の調整は、アームのサーボゲインとサーボオフセット調整。
1mmピッチのテストレコードが登場します。お楽しみに。 
 

nice!(9)  コメント(16)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 9

コメント 16

まめぞう

皆様へ

ご覧いただきありがとうございます。これからしばらく蔵出しが続きます。

長年蓄積したノウハウなので躊躇していたのですが、公開させていただくことにしました。

針圧測定の小ワザについても、おそらく皆考える事は一緒ですので、「あぁ知ってるよ」という程度かもしれません。

これからサービスマニュアルに則り、整備の核心へ入って行きます。
ここにも小ワザありです。サービスマニュアルの通りに行なったら一人では無理で、腕が何本あっても足りません。次回記事アップは今月末の予定でございます。

関係ないけど、最近so-net、ログインのスピードが速くなった気がします。
by まめぞう (2014-09-12 05:36) 

たいへー

針圧か・・・私結構アバウトなもので、
その日の気分で変わるんですよ。
まあ、許容範囲を越えなければ壊れないかなと。^^;
by たいへー (2014-09-12 07:47) 

まめぞう

☆たいへ~どの
あ、気分で変えるのは正しいと思います。^^
以前から付き合いのあるレコード針修理業者さんに何度も針交換を依頼しているのですが、1gのも2.5gのも4gのも針先は一緒でした。ダンパーやカンチレバーの素材とかで針圧の設計が変わってくるみたいですね。
by まめぞう (2014-09-12 12:05) 

moonrabbit

学生のときのワウフラッターの測定以来触っていないです。w
色々と面白い授業でしたが、FM変調など物理式には付いていけないところもありました。理解できていたらハード屋さん目指したかもしれません。

針圧ってちゃんと計ったことないかも。バランスとってそこから1.5gぐらいにしていたなぁ。針圧で音の違いがわかるほどの環境ではなかったなぁとしみじみ。
でも小さい頃に聞いた音って、記憶の中で美化されて凄いことになっていますが。久しぶりにWingsの西暦1985年でも聞こうかな。w
by moonrabbit (2014-09-15 13:00) 

まめぞう

☆らび師匠どの
西暦1985年、バンド・オン・ザ・ランの最後の曲っすね。懐かしや。
小学生の時授業で行った上野文化会館でのオーケストラ体験は強烈でした。オーディオにのめり込んだのはアレがいけなかった(笑)。常に比較しちゃうんですよね。でも考えてみれば、子供の心を鷲掴みにした強烈な体験に勝てるものなど無いんですよね。それに気づいてから、オーディオにお金をつぎ込むのを止めました。あれれ?何だか変な汗が出てきましたよ。^^;;;
by まめぞう (2014-09-15 16:15) 

kazu

初めまして、ヒズメと申します。 昔日、楽しんでいたテクニクスSL-10を思い出し、オークションで訳アリ品を購入しました。 が、トーンアームは動かず速度認識もできない商品でした。 突然に失礼かとも案じていましたがご相談いたしたくこのコメント欄を利用させていただきました。 アームについては諸兄の記事を参考にベルト交換で復旧できましたが自動認識が出来ない状態です。
資料を漁りましたが皆目見当も付かず困り果てています。 ご教授をお願いいたしたく失礼を忍んでコメントさせて頂きました。 よろしくお願いします。

kazu

by kazu (2016-12-08 19:25) 

まめぞう

☆ヒズメ様
コメントありがとうございます。

ご質問の内容ですが、具体的にどのような自動認識が出来ないのでしょうか?回転数でしょうか?盤のサイズでしょうか?
症状に関して、何となく想像はつくのですが。

諸般の事情により、ここでお答えするのは差し控えさせていただきます。

このサイトにお問い合わせいただくのはどうでしょうか?

http://vinyl1.blogspot.jp/

何でもこのお方は、ご本人曰く我が国で一番多くSL-10を取り扱っているらしいです。

すみません、お役に立てず申し訳ありませんです。m( __ __ )m

by まめぞう (2016-12-09 06:24) 

ヒズメ

コメントありがとうございます、済みません不在だったもので返信遅れました。
自動認識と書いてしまいましたがターンテーブルの回転数の切替が出来ない事です。 33回転レコードを乗せて”auto"でスタートするとアームが落ちると同時に”45回転”に切り替わってしまいます。 原因が分からず困っています。 ヒントでも教えて頂けませんか。 お願いします。

ヒズメ
by ヒズメ (2016-12-09 22:02) 

まめぞう

☆ヒズメ様
もしかしたら、17cmの盤を演奏しましたか?
以下、取り扱い説明書にも書いてあるのでノウハウでも何でもありませんが、
SL-10の回転数切り替えはレコード盤のサイズ(直径)を検出して行っています。プラッターの下に3個のLEDがあり、プラッターの穴を経由してフタ裏にあるセンサーで検知します。AUTOモードで17cm盤を載せると、一番内側のLEDは遮光、真ん中と外側のLEDが検知され、45回転17cmシングル盤と見做され、強制的に45回転になります。30cm盤で、AUTOモードではLEDが3個とも遮光されるので、強制的に33回転になります。
30cm盤でAUTOモードで45回転になってしまう場合は上記にまつわるどこかが故障しています。この場合原因は様々で、ケースバイケースですので現物を見ないと分かりません。ネット検索すれば、今でも修理を受けてくれる業者さんがありますので、そちらへ修理に出すことをお勧めいたします。当方個人ブログで業者ではありません。また現在、諸般の事情により公開している記事以外のSL-10関連の情報提供は行っておりません。悪しからずご了承・ご容赦願います。m( __ __ )m

by まめぞう (2016-12-10 08:54) 

ヒズメ

ご指摘まことにありがとうございました、モーター側の基盤を外し半田チェックしましたが1個所コネクター端子の半田がプカプカ浮いていましたので修復しました。 が、これは原因ではなかったです。 あと、蓋側の基盤にミニポットが2個付いていますがこの役目が分かりません。 追々調べてみようと思っています。 そうですね、事情は良く分かるような気がします。 ホントに貴重な参考ご意見有難うございました。 トライしてみます。 あと、チョットです。
by ヒズメ (2016-12-10 13:36) 

まめぞう

☆ヒズメ様
ミニポッド2個ってこれの事でしょうか?
http://elmo1963.blog.so-net.ne.jp/2014-09-24
違ってたらすみません。ご参考まで。
by まめぞう (2016-12-10 15:43) 

ヒズメ

興味深く読ませてもらいました、でもココでは無かったんですね。
変に触らないで良かったと安堵してます。 また印刷資料が増えました。 ところで、遂にサービスマニアル(英文)をDLしてしまいました、何処まで解読出来ることやら、、、、、
有難うございました。 結果が見つけられたら報告します、、先が見えない!

by ヒズメ (2016-12-10 19:54) 

まめぞう

ご検討をお祈り申し上げます。ではこの辺で失礼致します。m( __ __ )m
by まめぞう (2016-12-10 20:03) 

まめぞう

余談ですけど、英文のサービスマニュアルをご入手出来、読解なさる事がお出来になるなら、このような当サイトにお問い合わせに成る必要も無いのかと思います。何か別の意図がお有りでしょうか。

by まめぞう (2016-12-19 05:14) 

高見

初めまして。高見といいます。SL-10を検索してみたところここに来ました。おしえていただければ助かります。
父親が使用していたSL-10があり、昨年の10月頃から物置から引っ張り出し、使用していました。幸い動作していましたが、先週から不具合が発生しました。
回転数をオートの状態で電源を入れる(レコードが入っていない状態)と回転数の赤いランプが45をさすようになりました。確か今までは33をさしていたと思います。間違っていたらごめんなさい。
そのままLPレコードを再生すると45回転のまま再生されます。
どこかが壊れたのでしょうか?何も悪いことはしていないのですが。寿命でしょうか?できれば修理したいです。差し支えなければアドバイスをお願いします。
by 高見 (2017-05-22 17:36) 

まめぞう

☆高見様
申し訳ありませんが、故障していると思われる現物が手元に無い訳ですので、お答えのしようがありません。修理はケースバイケースでして。

通常では33ですね。電源を入れたら45になってるという事は、ちょっと珍しいというか。経験が無いので分からないのです。おそらく回転数切り替えスイッチの接触不良かと想像します。

この製品は、スイッチの構造由来とは思いますが、もともとAUTOから33に切り換えるとき、行き帰りで一瞬45が点灯します。微妙な場所で固定すると45になり、そのままフタを締めて再生すると45です。

その辺の接触がおかしいのではと。分解して点検してみてください。

お答えにならず申し訳ありません。m( __ __ )m

by まめぞう (2017-05-28 09:18) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。